見積りの設問は、数字を当てる問題ではありません。問われるのは「その数字にどんな根拠を置いたか」と、「ずれたときに何を動かすか」です。人・期間・範囲のうちどれを固定してどれを動かすかを決められるかが、答案の分かれ目になります。
先に押さえる
工数は人数×期間で表しますが、この2つは交換できません。同じ工数でも、少人数で長くやるのと大人数で短くやるのでは必要な調整の量が違います。人を増やすと、教える時間・分担の設計・連絡の手間が新たに発生し、増やした分がそのまま進み方にならない——これが見積りの土台にある性質です。
人を足しても比例しない
1増員したときに増えるもの
追加した要員戦力になるまでに、仕様と作法を覚える時間が要る
↓教える側の手が止まる(教育の負荷は既存メンバーが払う)
連絡・調整の量人数が増えるほど、すり合わせの組み合わせが増える増員分がそのまま速度にならない
だから終盤の遅れに対して単純に人を足すのは、短期的にはむしろ遅くなり得ます。設問で増員が正解になるのは、分けられる作業が残っていて、教える負荷を払える段階のときだけです。
つまずきポイント
見積りの根拠を「経験上」で済ませると、ずれたときに何を直せばよいか分からなくなります。規模の指標(画面数・機能数など)と1単位あたりの工数に分けておくと、実績が出た時点でどちらがずれたのかを切り分けられます。設問が「見直しの根拠」を問うのは、この分解ができているかを見ているからです。
見積りの置き方と、確からしさ
置き方
- 過去の似た案件から全体を当てる(早いが粗い)
- 作業を分解して積み上げる(細かいが、分解できるまで待つ)
- 規模の指標に1単位あたりの工数を掛ける
確からしさの扱い
- 初期は幅を持たせ、段階的に絞る
- 読めない部分は予備を分けて置く(本体に混ぜない)
- 前提を書き、前提が崩れたら見直すと決めておく
見抜きどころ
答案の芯は「何を根拠に、何を固定し、何で吸収するか」です。「人を増やす」と書く前に、範囲を削る・時期をずらす・優先度を下げるという選択肢が問題文に用意されていないかを見ます。増員を選ぶなら、教育の負荷を誰が払うかまで書くと具体になります。
要員計画は「時期」で決まる
必要な人数は工程で変わります。設計に厚く必要な人、試験に厚く必要な人は別で、全期間を平らに埋めると余りが出ます。計画ではいつ・どんな技能の人が・何人要るかを並べ、確保できる時期と突き合わせます。確保できない時期があれば、そこがスケジュールの制約になります。